事務局
吉川徹 ―
高機能自閉症セミナー2019
自閉スペクトラム症のある人の就労と自立を考える~ライフステージを繋ぐ支援とは~
基調講演
自閉スペクトラム症のある人の就労と自立を考える~ライフステージを繋ぐ支援とは~
自閉スペクトラム症のある人の就労と自立を支えるステップとして以下の3つのトピックがあると挙げられました。
- ライフステージを繋ぐ支援
- 一貫して身につけていく力
- 就労と自立を目指して
質疑応答の時間も取っていただき、保護者からのゲームに関する質問、当事者からの好事例のリクエスト、支援者からの就労についての質問にも一つ一つ丁寧に答えてくださいました。
ライフステージを繋ぐ支援
ライフステージを繋ぐ支援とは、次のステップの土台になる、次のステップへの引き継ぎができる支援であること。
そして目標・評価・支援の方法がぶれることなく一貫した支援であること。
一貫して身につけていく力
一貫して身につけていく力として必要なことは以下の4点であると話されました。
- 新しいスキルを効率よく習得する方法
- 行動の動機づけ
- リラクゼーションと余暇
- トラブルシュート(問題解決の方法)
自閉スペクトラム症の人たちにとって社会的動機づけは難しいけれども、就労するにあたって、何を報酬(ご褒美)に働き続けるのかを考えることが大切であり、余暇の過ごし方やその人に合った休憩の取り方の提案、トラブルを予防するためのスキル獲得やトラブルに遭遇した時の支援者の対応の仕方についてもわかりやすく説明してくださいました。
就労と自立を目指して
就労と自立については、就労・自立を“目的”にしてはいけない。
充実した人生を送るための手段であると述べられました。
大人になってからのイメージを逆算すること、「~したい」という気持ちを目標にすることが大切というお話には、参加者も日々の支援を省みて考えさせられることも多かったのではないでしょうか。
参加者のアンケート
- 就労はひとつのゴール、区切りだと思っていましたが、『就労したい』という気持ちを目標にすることが大事だということが分かりました
- 逆算で考えていくことをしっかり意識して今できることを、見通しをもって支援していきたいと思った
- 自立・就労について、子どもへの接し方についての参考になりました
- 本人の思いを大切に考えていくこと、意欲をどうつくっていくかが最も大事なことがよく分かりました
- 学校・支援者の目標づくり・目標の考え方を改めて考えさせられました
他にも吉川先生の考え方に共感しました、今後の支援に生かしていきたいなどの感想をいただきました。
吉川徹(よしかわとおる)
児童精神科医
愛知県医療療育総合センター中央病院 子どものこころ科
あいち発達障害者支援センター 副センター長