親と専門家が協働して活動している会です。

本部

吉川徹 ―
高機能自閉症セミナー2019
発達障害とゲーム・ネット・スマホ~デジタル機器とのつきあい方を考える~

デジタル機器と聞くと、依存症やトラブルに巻き込まれるというイメージから、否定的な保護者や支援者が多いのではないでしょうか。

先生はまず大人がネット・ゲームの世界に関心と知識を持つことが大切であると述べられました。

そしてアセスメントの必要性や、デジタル機器への接触は大人のコントロール下で利用が開始できるよう早期から始めることが大切であると話されました。

京都府自閉症協会「高機能自閉症・アスペルガー症候群2019|第二分科会」にて吉川徹先生の講演が開催されました。

参加者は114人でした。

質疑応答では、トラブルや危険性の問題、昼夜逆転による生活リズムの乱れについて、また不登校でゲームばかりして不安を感じている保護者や教育関係者からの質問に答えられ、現実の世界に魅力や楽しみを作っていく努力を続けていくこと、そして“ゲームを取り上げられるかも”と思ったら、子どもは嘘をついたり大人に相談しなくなってしまうと話され、安心できる関係を構築するという視点を提案されました。

実体験を通して大人が子どもに伝えることが重要

大人もネットやゲームに関心や知識を持つことで、子どもの世界に興味を持って話を聞き、できれば一緒にプレイをすること、またルールを守らせるための工夫や取り組みが必要であることなど、明日からの支援に生かせるお話が満載でした。

ルールを決めても守らないからと、ネットやデジタル機器を取り上げたりするのではなく、ネットとゲームの他にも、楽しいこと、やりがいのあることがこの世の中にはたくさんあるということを、体験や実感を通して大人が子どもに伝えることが重要であると話され、改めて子どもとの向き合い方を考えさせられました。

参加者アンケート

  • ネット・ゲームというと、なんとなくどう遠ざけるか、コントロールするか、という意識を持っていた自分に気づかされました。まずは楽しいものと認めて、興味を持ち、知ることが大切なんだと感じました
  • ネット依存という言葉は私の中でマイナスなイメージがとても大きかったのですが、『時代は後ろに戻らない』という言葉は心に強く残りました。大人が正しい知識を持つことがとても大切だと思いました

他にも楽しく実践に生かせる内容だったという感想を多くいただきました。

吉川徹(よしかわとおる)

児童精神科医
愛知県医療療育総合センター中央病院 子どものこころ科
あいち発達障害者支援センター 副センター長

司会:田中一史(京都市児童福祉センター)