親と専門家が協働して活動している会です。

高機能・アスペルガー部

【高機能・アスペルガー部】
本人への診断名告知について|Zoom保護者交流会のご報告

3月10日(水)10:00~12:00 zoomにて交流会を開催いたしました。今回は「告知」をテーマにしてみました。中学1年生から37歳の方たちの母親8名が集まりました。

支援とつながっていくために

高機能の方の場合は、発達に凸凹を抱えて社会(多数派)の中に出ていく、または社会(多数派)と接点が多いところで生活することが多いため、対人トラブルやストレスが多くてとても大変です。

ご本人がその辛くなりがちな人生を少しでも楽に自分らしく生きるためには、ご自身がどのような強みや弱さを持っているかを知って、支援とつながっていくことが必須です。

そのためにも、告知はご本人や多くの親御さんにとって重要なポイントになるかと思い、今回のテーマとしました。

診断名告知のタイミング

 一時期、告知は〇〇歳頃に行うといいなどといった告知ブームがありましたが、実際みなさんのお話をお聞きしてみると、そのタイミングに備えて用意周到に準備して臨んでも、後々そのことをご本人が全く覚えていないことが分かってガックリきたとか、その時はすんなり納得したように見えたのに、年月が経って今はむしろ障害を認めない方向にいっているというお話がありました。

「彼のためにはこの時期に告知するのがいいといわれているが、僕には自信がない。お母さん一緒に探っていきましょう」という主治医の言葉に、当時主治医への信頼を深くした、というお話もありました。

こちらの思いどおりにはならない

そうした中で、ある当事者の方は、親が熟慮して行った告知には関心を示さず、学校の先生がクラスメイトに自分のことを説明しているのを聞いて、自分についての理解が深まった、説明すれば分かってもらえることを知り楽になった、そうです。

またある親御さんは、とにかく全力で助けるよ、というメッセージを伝え続けながら、 一年かけてじっくり告知した結果、今ではそれが親子の信頼に基づいた関係性の基礎になっているというお話がありました。

告知の話ではないのですが、わが子の不登校を回避するべく親が本を読んで必死で勉強した、その不登校関連の本を本人が本棚に見つけ、「この手があったか!」と不登校を選択したという話には爆笑でした。

いずれにせよ、こちらの思い通りにはならない彼らであるということは確かです。

本人のペースを尊重し寄り添う

お話を伺っていて思ったのは、告知というのは一回限りのものではなく、ご本人の行きつ戻りつの揺れる心に添って何回も丁寧になされるべきものなのだなということです。

前に進む(進ませる)「ために」するものではなく、こちらの自己満足でもなく、あくまでもご本人に安心を植え付けるものでなくてはならない。受け止めの度合いもこちらの願いではなく本人のペースを尊重する。障害を頭では分かっていても、気持ちが追いついていかないときもあることを親は知っておく。

一筋縄ではいかない彼らのペースに寄り添い、時には逆行する気持ちを受け入れつつ、味方でい続けること全体が、告知ということかもしれません。

Zoomでの交流会を振り返って

告知以外にもたくさんの話題に花が咲きました。混乱のさなかに参加された方のお話は、祈るような思いで聴かせていただきました。5年ぶりに参加された方は、本当に大変な5年間の道のりのご様子でしたが、会の後で「5年ぶりでしたが5年分の元を取るような機会をありがとうございました」と、嬉しい感想を寄せてくださいました。

zoom交流会になってから、後日交流会の感想をメールで送ってくださる方も多くいらっしゃり、よりきめ細やかな交流が実現しているように感じられるのは、とても嬉しいことです。

これで2020年度の高機能・アスペルガー部の交流会はすべて終了いたしました。

2020年度の経験を活かし、2021年度はさらに改善し、バージョンアップしていきたいと思っておりますので、どうか応援をよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。