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新型コロナウィルス感染症 ―もし感染したら?|会員 A さん(母親)の体験|当協会から府市への要望

新型コロナウィルス感染症について、現時点(2月末)では、新規感染者数が急速に減少している状況ですが、ワクチン接種は一般の人は 6月以降開始予定と言われており、まだ今後の状況が見通せません。

私たち自閉スペクトラム症の子を持つ家族にとって、1 年以上にわたり手洗い、消毒、3 密をできるだけ避ける生活など、一応個人でできる努力は続けているものの、感染への恐れはぬぐえず不安な日々です。そのような中で、会員の Aさんは息子さんが昨年感染し、家族中で大変つらい思いをされました。その経緯をお話しいただきました。

会員 A さん(母親)の体験 

息子さん(20 代)は、昨年秋のある日 38 度台の発熱があったため、A さんと共に病院の発熱外来を受診したところ、肺に影が映っていると言われ、後日 PCR検査を受けると陽性と言われました。濃厚接触者である母親Aさんは陰性と判明。

当時Aさんは知らなかったのですが、近隣の病院等でコロナ感染症のクラスターが発生していました。息子さんは毎日電車を利用して就労継続B型事業所に通っており、つり革や手すりなどに触れた手で鼻を触ったり(息子さんの癖)したために感染したのではないかと推測しています。

病院からは、息子さんに多動などの問題があるため単独入院は困る、母親である Aさんと一緒に 入院してほしいと言われました。しかしAさんは息子さんが病室内でじっとしていることが難しく、外へ行きたがった場合制止することができないと考え、在宅療養を選びました。

在宅療養を選んで

家族は母子の他にAさんの両親(二人とも陰性)が同居し、買い物などはもっぱら祖母が担いました。病院では医師から解熱剤の処方があり「様子を見てください」と言われたのみ。保健所の保健師さんからは毎日電話があり、息子さんの状態をたずねられるとともに、Aさんを励ましてくれました。

自宅で不慣れな感染対策をしながら過ごし、2 週間後に再検査を受けると、息子さんの症状は回復しているのに陽性と出ました。回復しても検査ではすぐには陰性にならないことが多いと言われました。

さらに2週間の在宅生活が続き、やっと検査は陰性になりました。

息子さんとの4週間

結局 Aさんは4週間仕事を休み、息子さんも4週間事業所を休んで家で過ごしました。息子さんが外に出たがる時は、外へ出たら大変なことになるとその都度説得して、何とか家の中で過ごしました。

事業所の支援員は、家でできる宿題のようなプリントを持ってきてくれました。しかし息子 さんは家にいてもすることがなくなり、運動もしないので(以前は水泳などに通っていた)、食べることが多くなり、体重が非常に増えてしまいました。

Aさん自身もずっと閉じこもった生活で、精神的に参りました。息子さんは毎日毎日同じ話、同じ言葉を4週間ずっとくり返ししゃべり続けるのですから、祖父母もしんどい思いをされたことでしょう。

その後息子さんは後遺症もなく事業所に通い、A さんは職場に復帰するようになって、周囲からは差別的な言動を受けたことはありません。

コロナ感染症を振り返って…

A さんは「このコロナ感染症は誰でもが感染する可能性があります。感染が分かってから、どういう気持ちをもってどういう生活を作っていくかが大切だと思います。今後もしこのようなことが起こった場合、祖父母もいなくなったら母子二人だけの家庭になるので、家族の助けは得られません。本人あるいは親である自分が感染しても、安心して入院ができる 病院の体制や福祉制度が是非とも必要です」と言われました。

A さんの場合は、息子さんが幸いにも比較的軽症であったことや A さん及びご両親がずっと感染せずに済み、ご両親の助けを得られたことなどの好条件が重なり、そして努力をされて乗り越えられたのではないでしょうか。

親として最も心配なこと

私たちは、いつでも感染する可能性があります。親として最も心配しているのは次の2点だと思います。

①本人が感染したらどうなるのか。本人一人で病院に入院できるのか?

②親が入院して本人が家に一人取り残された場合、どうなるのか。誰がみてくれるのか?

主にこの 2点について、当協会は京都府、京都市に対して継続して要望書を提出し話し合ってきました。

①本人が感染したらどうなるのか

①については、本人が感染したら原則入院です。病院は感染症の場合、付き添いや介護者を病室に入れることを許可しません。一方福祉サービス事業者側も、陽性や濃厚接触者の支援を断る所が大半だと思われます。

しかし病院は、自閉スペクトラム症のように行動上の障害があり、コミュニ ケーションのとりにくい人を、単独で入院させる体制を取れないという現実があります。病床がひっ迫すれば、そもそも軽症者は自宅療養であると、基準自体も変わります。

感染症について看護の知識も経験もない人が、かつ感染するおそれが強いにもかかわらず、母親であるという理由で、成人である本人と一緒に入院するという、本来あるべきではないことを要求されるのです。府内では、A さん以外にも母子一緒に、あるいは家族全員(全員が陽性か陰性の人も含まれるのかについては不明)で入院された例もあるそうです。

当協会は、このような人たちに別の医療福祉的な体制を、と望みましたが、すべて「難しい」と 言われました。

②親が入院して本人が家に一人取り残された場合、どうなるのか。誰がみてくれるのか?

②親が入院して、本人(子)が在宅で取り残された場合についてです。最近は感染初期の頃と違い、PCR検査が比較的早く実施され、結果も早ければ即日、大抵翌日には判明するそうです。陽性であれば原則は即入院。陰性であっても2 週間の待機が求められます。

濃厚接触者ですから、通常なら利用するショートステイは、事業所が受け入れてくれないでしょう。では自宅で誰が支援してくれるのか。居宅介護事業所も、ヘルパー派遣には応じられないと言う事業所が多いのです。

当協会から府市への要望

当協会では府市への要望として、府市の持つ施設等の中で空いている所を整備して、そこを自宅で一人で過ごせない人たちのための一時的な居場所とし、そこにサービス事業所が協力してヘルパーを派遣するなどの方法を取ってほしいと要望していました。この方法は、すでに神奈川県や東京都などで実施されているものです。

それについて、京都府からの回答は「現在のところ難しいが、保護者の気持ちは分かるので探す努力はする。もし確保できたら、確保したと伝える。」とのこと。

京都市からの回答は「場所を用意することはできない。居宅介護事業所からのヘルパーを自宅に派遣することとしたい。市内の全事業所からの同意は得ている。」とのことでした。

ワクチン接種については、今後 6月以降(もっと遅れそう)になるのか、16 歳以上の一般の人を対象に開始されるようです。

自閉スペクトラム症の人が一般の人と並んで大きなホールや体育館などで、一人数分ほどで流れ作業のようにスムーズに接種できるとは思えません。

日頃なじんだクリニックや通所先など、少人数の落ち着いた環境で、それぞれに合わせた工夫をしながら、接種を望んだ人全員が受けられるようにしてほしいものです。そのように行政には伝えています。

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